夢のはなし

キイロスズメバチの巣ができた。そこは実家だった。まったく見覚えのない部屋だったし、自分と同居しているらしき住人もまったく知らない人だったが、そこは間違いなく実家だった。その部屋の一角、天井の角に、キイロスズメバチの巣ができていた。巣の形はとてもスズメバチの巣の形ではない、黄色く変色した肝臓のような形をしていたが、それを間違いなくキイロスズメバチの巣で、そうであると確信していた。なぜならその部屋にはスズメバチが数匹、我が物顔で飛び回っていたからだ。危険なので、一旦別の部屋に避難した。刺激しないほうが良いことはわかっていたが、鬱陶しいので駆除をしようと考えた。なお、キイロスズメバチが正しくはどのような色形であるのか、自分は正しく知っているはずはないのだが、そのキイロスズメバチ巣(のようなもの)のまわりを飛び回るキイロスズメバチのようなものが、キイロスズメバチであることに疑いの余地はなかった。スズメバチに殺虫剤で挑むのは時には逆効果であることも承知していたが、片手に殺虫剤と、ビニール袋のような何かを棒に巻き付けた虫取り網のようなものを作成し、もう片方にこれを装備して部屋に入り、巣と対峙したその刹那、背後の耳元でキイロスズメバチの羽音が近づいてきたため、驚いて思わずうろたえ気味で殺虫剤を振りまいた。もちろん彼らは発狂し一斉に襲い掛かってくるので、さらに殺虫剤をまき手づくり棒を振り回し振り払おうとするが、一匹が左腕に取り付いて針を刺した。刺した気がした。そこで目が覚めた。

8月はそんな夢を見た、というメモが残っていた。
たぶん耳もとで蚊でも飛んでいたのだろう。

 

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